2008年08月05日

カント『道徳形而上学原論』

カント(篠田英雄訳)(1960)『道徳形而上学原論(1785)』岩波文庫

本書でカントは、「道徳の最高原理の探求と確立」(p.20)を目指して、分析的方法により、道徳形而上学の考察とその基礎付けを行う。「道徳についての一般的(世間的?)理解」から始まり、「?@通俗的な道徳哲学(善意志、義務)→?A道徳形而上学(3つの基本的命題)→?B純粋実践理性批判(最高原理としての意志の自律とその原因たる自由)」という、(ぶっちゃけ上昇というよりも…)表層から最深部へと至るプロセスを経る。

第二章では、有名どころである3つの基本的命題が登場する。
a.「君は、[君が行為に際して従うべき]君の格律(→主観がそれに従って行為するところの原則)が普遍的的法則となることを、当の格律によって[その格律と]同時に欲しえるような格律に従ってのみ行為せよ」(p.85)
b.「君自身の人格ならびに他のすべての人の人格に例外なく存するところの人間性を、いつでもまたいかなる場合にも同時に目的として使用し決して単なる手段として使用してはならない」(p.103)
c.「普遍的に律法する意志としての意志としての、それぞれ理性的存在者の意志という理念」(p.108)

第三章の基礎付けに関わる議論はなんとなく理解できたという程度だが、とりあえず感性界と可想界(もしくは悟性界、いわゆる「物自体」の世界)の区別があって、意志の自律の根拠となる自由(そのもの)とは、まさに後者の世界に存する「理念」になる。従って、(純粋実践)理性の対象となりうるのは、この意味での傾向(性)や衝動などの不可物が剥ぎ取られた自由である、と…。

訳者の篠田英雄は、岩波では三批判書すべての訳に携わっているので、よく知られた名前だけれども、どうも経歴その他の詳しいことはネットだけでは分からないみたい…。
posted by ta at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 文献レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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